事業者の取り組み紹介

カクヤスグループ、今ある価値×SDGsで新規ビジネスへ

酒類をはじめとする食料品の販売・配達を行うカクヤスグループが2024年1月、「東京都北区SDGs推進企業」として認証されました。2050年までに温室効果ガスの排出量をネットゼロにすることを目指し、配達用EV軽自動車や再エネ導入など、できることから地道に進めてきました。「今ある価値」を見出す姿勢は、「廃食用油の回収」など独自の取り組みを生み、企業価値向上へも繋がっています。

カクヤスグループは、酒類をはじめとする食料品の販売・配達を行う、東京都北区に創業して103年になる老舗企業です。酒類販売業には珍しく、飲食店向けと家庭向けの2軸で販売を行っているほか、すべての配達を自社のみで行う一気通貫したサービスを提供しています。

 

同社は「お客様のご要望に『なんでも』応えたい」という理念のもと、お酒1本から無料配達を最短1時間で提供してきました。1時間で配達を行うクイックデリバリーを実現するため、約250もの拠点を持ち、台車やリアカー、電動三輪車などを駆使して地域の飲食店や各家庭のほか、忘年会を行う企業やイベントを行う公園などにも配達します。

 

 

 

今回、同社が認証された「東京都北区SDGs推進企業認証制度」は、国が定めた地方創生SDGs登録・認証等制度ガイドラインの認証モデルにおいて、東京23区で初となる認証制度です。2023年度から始まり、東京都北区が社会・環境・経済の3つの側面を含んだ取り組みを実践する北区の企業を認証します。

 

「節電や節水に取り組んだ経営を実践している」、「ダイバーシティ経営に関する実践をしている」などの70項目のSDGsチェックリストにおいて70%以上該当することや、SDGsに関連する目標を3つ以上設定することなどが認証基準として設けられています。

 

2025年1月時点で、41社が「東京都北区SDGs推進企業」として認証されています。

モットーは「できることからコツコツと」

「東京都北区SDGs推進企業」として認証されたカクヤスグループですが、サステナビリティ基本方針を策定し、サステナビリティへの取り組みを始めたのは、2年前の2023年2月からでした。きっかけは、サステナビリティにおける情報開示などの社会的要請の高まりだったといいます。

 

約2年もの間に様々なサステナビリティへの取り組みが進んできました。

 

例えば、同社において特にネックだった、配達時の温室効果ガス排出量の削減に向けては、以前から導入していたけん引タイプのリアカーに加え、配達用EV軽自動車を2023年11月から導入しました。EV軽自動車はガソリン車と比較すると、1台あたり約60%の削減量を見込めるそうで、2024年11月にはEV軽自動車を7台追加するなど、着実にEV化へと推進しています。

 

 

再生可能エネルギーへの切り替えも2024年4月から始めています。本社ビル、配送センター、店舗等を含む14拠点において再生可能エネルギーを導入したことで、年間約900t-CO2の削減を見込んでいるそうです。

 

このようにスピード感をもって対応してきた背景には、「できることからコツコツと」という同社の姿勢があります。

 

廃食用油の回収サービスもその考えから生まれた新サービスです。

 

同サービスは、自社で行ってきた自社配達を活かした取り組みで、配達時に家庭や飲食店から出る廃食用油を回収し、その回収した廃食用油をバイオ燃料やSAFなどへ再資源化する取り組みです。

 

 

飲食店から回収を行う業者によっては10日に1回などの頻度で回収を行うなど条件があるところも多くある中、商品のお届けがあれば、毎日の回収も可能である同社のサービスは利便性が高く、飲食店の利用率は高まっているそうです。

 

2024年6月から首都圏において回収を開始し、同年11月には関西・九州まで回収エリアを広げました。その結果、12月末時点で約46トンもの廃食用油の回収を実現したといいます。

「今ある価値」を見出す姿勢が企業価値向上へ

 

カクヤスグループ・サステナビリティ推進課長の五十川里子氏は、これまでの取り組みを振り返り、「総じてポジティブな反応が多かったです。1年に1度行う社員向けアンケートでは、『会社がSDGsに取り組むことで、企業価値が上がると思いますか』という問いに対し、7割の従業員が『そう思う』と回答しており、少なからず従業員のエンゲージメント向上やリクルートなどにも寄与しているのかなと思っています」と話しました。

 

また、廃食用油の回収サービスなどが多くメディアに取り上げられたことで、これまで接点のなかった業種の方からの問い合わせも増えたといいます。

 

「今後も、できることからコツコツと取り組みを進めつつ、サプライヤーを含め、行政やその他北区の企業と連携し、地域に還元していけるような取り組みを進めていきたいです」と五十川里子氏は締めくくりました。

事業者プロフィール

株式会社カクヤスグループ

1921年、「カクヤス酒店」として東京都北区豊島で創業し、飲食店や各家庭向けに、酒類を中心とした飲料、食品、日用品などを販売しています。現在では首都圏を中心に250拠点を有し、自社配達によって、エリア内ならビール1本から、最短1時間で無料配達を行っています。飲料を中心に、プライベートブランド「Kprice」も展開しています。

カクヤスグループ公式HP:https://www.kakuyasu-group.co.jp/

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