事業者の取り組み紹介

川田グループの強みは「継続」と「評価」

川田テクノロジーズ株式会社

川田テクノロジーズ(東京本社: 東京・北区)を持株会社とする川田グループが全国に展開する各事業拠点において地域の清掃活動を続けて25年以上が経ち、「環境を守る」意識の醸成が進んできました。屋上緑化システムや地中熱を利用した空調システムなど、インフラを担ってきた技術をもとにした環境・防災関連事業の実績も増えています。技術向上や環境保全の意識醸成を実現した背景には、「継続」と「評価」がありました。

継続は力なり――。これを実践するのが、川田グループです。

 

川田グループは、橋梁、鋼構造物、建築、ICT、ヒト型ロボットなど社会インフラに貢献する事業を長年にわたり幅広く展開してきました。その持株会社である川田テクノロジーズは、グループ各社の事業を総括するとともに、先端技術の研究開発を推進する技術研究所を擁しています。

 

主要事業会社である川田工業(東京本社:東京・北区)は、明石海峡大橋や東京スカイツリーなどのビッグプロジェクトに参画し、間もなく創業103年を迎えます。

 

その川田工業が近年力を入れてきたのが、環境・防災関連事業です。地球温暖化による自然災害が多発する現代において、「インフラを担う企業として、環境を守ることは『当たり前』」という意識醸成とともに、同事業を推し進めてきました。

 

この意識醸成を培ってきたのが、25年以上継続してきた地域の清掃活動です。

 

川田工業には、富山県、栃木県、香川県の3拠点ある鋼構造物の生産工場のほか、全国各地に建設業における工事現場を持ち、それら各拠点において、長年にわたり清掃活動を行ってきました。

 

例えば、富山工場では、毎月1回、30人ほどの社員が集まり、会社前の歩道の草むしりやゴミ拾いを行っています。この清掃活動は、25年間欠かさず行われており、2024年から過去3年間で、常に年間170人以上の社員が任意で参加しています。

 

また、清掃活動の可視化を行う、ごみ拾いSNS「ピリカ」を用いた東京都北区の清掃活動「きたくなるまち!北区クリーンアップ活動」にも積極的に参加し、2024年秋に行われた「ポイ捨て防止キャンペーン」では、吸い殻ごみのポイ捨て禁止や喫煙マナー向上の啓発にも取り組んできました。

 

川田テクノロジーズの社員が富山湾の海岸を清掃している様子

 

川田テクノロジーズの社員が東京都北区の清掃活動に参加している様子

 

川田テクノロジーズ社長室の吉﨑優花氏は、「元々地域に根ざした工場があり、多くの従業員はその地域に住んでいます。そのため、家族が住む地域をきれいにすることが自分事化されやすく、活動を25年以上もの間続けてきたことで、環境を守ることは『当たり前』という意識が根付いているのではないかと思います」と話します。

屋上緑化システム「みどりちゃん」の導入は230件超えに

環境・防災関連事業の実績も増えてきました。

 

同事業の第1号製品である屋上緑化システム「みどりちゃん」は今から22年前の2003年に開発され、国内外の導入数は230件を超えました。2001年に環境省が発足し、ヒートアイランド現象の抑制のため、屋上緑化などの取り組みが必要とされたことが開発の背景にあったといいます。

 

雨水を有効利用する同製品は、基本的に水やりが不要のため、ヒートアイランド現象の抑制だけではなく、灌水装置の電力量や水の消費量を抑制でき、環境的にも経済的にもメリットが大きいことが特長だといいます。

 

海外での納入実績も増えており、香港では従来の灌水装置を利用した場合と比べて、水の使用量が170リットル/月から0.33リットル/月に減少した事例もあります。

 

現在では、誰でも設置が簡単にできる壁面緑化システム「Stand by みどりちゃん®」も開発し、川田工業の工事現場の景観を保つために設置するなど、様々な場所で導入が進んでいます。

 

川田テクノロジーズ社長室の吉﨑優花氏がStand by みどりちゃんを紹介している様子

 

再生可能エネルギーの一種である地中熱を利用した空調システム「GEOneo®」も手掛けており、一般的なエアコンと併用して、その時々に応じて運転効率の良い方を優先して稼働させることで、空調にかかる電力消費量を抑えることを可能にしたといいます。

 

同空調システムを導入する富山工場の2023年度の電力量は、空気熱空調のみを使用した場合の想定量に比べ、36%の電力量を削減したそうです。

 

「評価」が人材を育てる

 

このように様々な技術開発が成功してきた背景には、川田グループが継続してきた、もう一つの「当たり前」があります。それは、最新の研究成果や工事報告をまとめたレポート「川田技報」の発行です。

 

色とりどりな川田技報の冊子が並んでいる様子

 

同レポートは40年以上も前に発刊し、第4号以降は毎年発行し続けてきました。開発に至った背景や研究手順、結果などの研究の詳細が、実際に開発に関わった社員によって記載・記録されており、研究や改善の継続につながっています。

 

吉﨑氏によると、自分たちの研究や成果が冊子として公表されることは、社員のモチベーション向上にもつながっているといいます。

 

また、同グループは、2030年までの実現を目指す「KAWADA VISION」への取り組み成果を、部門単位で賞与に反映する仕組みも取り入れています。昨年より「KAWADA VISION」のスローガンとして「グリーン・デジタル・グローバル」を掲げ、グリーンへの意識向上を図り、「継続」を支える社員のエンゲージメント向上にも努めてきました。

 

川田テクノロジーズ社長室の吉﨑優花氏がインタビューに答えている様子

 

吉﨑氏は、「川田グループは、『いつの時代にも、技術で社会に貢献する』をポリシーに掲げ、100年以上インフラを支える事業を続けてきました。これからも、いい製品をつくるということだけではなく、社会に求められるものを大切に、環境事業にも継続的に力を入れていくという社の方針を推進していきたいです」と意気込みを語りました。

 

川田工業株式会社
川田グループの基幹事業会社として、鋼製橋梁や超高層ビルの鉄骨、物流倉庫など、鋼構造物の設計・製作・施工に携わるほか、環境・防災関連事業にも力を入れています。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて岐阜大学(国立大学法人東海国立大学機構)と共同で進めている取り組みが評価され、経済産業省「ゼロエミ・チャレンジ企業」に選定されています。
川田工業公式HP:https://www.kawada.co.jp/
川田工業 環境・防災関連事業HP: https://www.eco.kawada.co.jp/

 

事業者プロフィール

川田テクノロジーズ株式会社

橋梁、鋼構造物、建築、ICT、ヒト型ロボットなど社会インフラに貢献する技術を幅広く展開する川田グループの持株会社として、2009年に東京都北区と富山県南砺市に設立。基幹事業である橋梁や建築を担う川田工業をはじめとする、7つの事業会社の経営計画の管理やすべての技術を包摂した研究開発を行っています。

川田テクノロジーズ株式会社:https://www.kawada.jp/

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